お知らせ
2023年4月より、乳房再建部門は「Lalaブレスト・リコンストラクション・クリニック横浜」として新しく開院致しました。
脂肪注入による乳房再建をご希望の方は、新しいクリニックへご案内させて頂いております。
脂肪注入による乳房再建について

乳房再建は、乳癌手術により乳房の一部、または全部を失ってしまった乳房を取り戻す手術です。
当クリニックでは「あたたかく、柔らかく、自然なかたち」をコンセプトに、一人ひとりの患者さまのご希望に叶う「オーダーメイドの乳房再建」を目指しています。
自分の組織で乳房再建をしたいけれど、大きく切開する手術や長時間の手術は怖い、人工物での再建には抵抗がある、、、乳房再建の方法について、そのような悩みを抱えてはいませんか?
脂肪注入による乳房再建は、そのような悩みを抱える患者さんにとても合った再建方法です。最新の脂肪注入技術にて「あたたかく柔らかく自然な肌触りの乳房」を、目立つ傷あとを残さず再建・再生します。
乳房再建に特化して真剣に取り組んでいます
脂肪注入による乳房再建は、日本ではまだ保険外の治療です。
私たちは、乳房再建に脂肪注入という手技を2012年より、いち早く海外から取り入れ、現在までに250症例以上の乳房全摘後の患者さまの治療を行い、脂肪注入に関する学会活動なども多数行ってきました。
私たちは、少しでも多くの患者さまに脂肪注入が適応になるよう、日々取り組んでおります。
しかし、全ての患者さまに適応になるわけではありません。また、少ない回数で治療完了する患者さまもいれば、回数が多くかかる難しい患者さまもいます。
今までの多くの治療経験から、患者さまお一人お一人に寄り添い、最適な方法をご提案させて頂きます。
乳房再建の方法
乳房再建には、大きく分けると自家組織による方法、人工物による方法があります。
自家組織再建は、自分の組織を大きく切り取って移植する方法です。筋肉を温存して脂肪のみを血管付きで移植する穿通枝皮弁(腹部、大腿部、臀部など)、筋肉を使用する筋皮弁(腹部、背中など)があります。穿通枝皮弁は1回の手術で温かく柔らかく、経年変化で下垂する自然な乳房を再建することが可能です。しかし手術時間が長く、乳房以外に長い傷痕が出来てしまう欠点もあります。
人工物再建は、乳房の形をしたシリコンインプラントを挿入する方法です。手術時間が短く、乳房以外に傷痕が出来ないことが良いところですが、感染に弱い、被膜拘縮(インプラント周囲にできる被膜が硬くなり縮む現象)を起こす可能性、人工物は劣化するのでいずれ入れ替えが必要になるなどの欠点があります。
脂肪注入は、自分の組織で再建することができ、かつ短い傷痕で、短い手術時間で再建できる、両者のいいとこ取りをしたような方法です。日帰りで手術が可能なため、体の負担が少なく再建することができます。しかし、血流のない脂肪の粒を移植して再建する方法なので、一度に沢山の脂肪を注入することができません。そのため複数回の手術を要します。また本治療は自費診療になります。



脂肪注入による乳房再建
当クリニックでは、主に脂肪注入による乳房再建を行っています。
脂肪注入は、血流のない脂肪の粒を移植して再建する方法です。脂肪の粒一つ一つが周りから栄養を貰う必要があるため、1度の手術で、栄養を貰えないほど沢山の脂肪を注入することはできません。そのため複数回に分けて、少しずつ乳房を大きくしていく必要があります。
手術は、腹部や大腿などから脂肪吸引をして得られた脂肪を、遠心分離することで麻酔液や血液を除去して脂肪の粒のみにします。精製した脂肪の粒を、カニューラと呼ばれる細く先端が丸い針を用いて、細かく丁寧に、大胸筋下・内、皮下脂肪の層に注入します。脂肪吸引のための傷は5mm程度、注入のための傷は針穴程度です。術後は、脂肪吸引した部位の1週間の圧迫、脂肪注入した部位の1ヵ月の安静が大切です。当クリニックではこの手術を、6ヶ月以上間隔をあけて繰り返すプロトコールで行っています。
残念ながら、注入した脂肪は全て生着するわけではありません。生着率は、注入する脂肪の種類、移植床である乳癌術後の状態(乳房皮膚がどのくらい切り取られているか、皮下脂肪がどのくらい残っているか、皮下に硬い瘢痕ができていないか、エキスパンダーの有無、放射線照射の有無など)によって大きく変わります。
当クリニックでは、生着率を少しでも良くできるよう、体外式乳房拡張器(Noogleberry)を術前後に使用しています。お椀のようなカップを乳房に当てて陰圧をかけることで、体積を少し膨張させ、血流を増強し、生着率の向上が期待できます。日本人は、欧米人と比較して脂肪が沢山はありません。貴重な脂肪を少しでも有効に使うために、患者さんには術前後1ヶ月間使用して頂いています。
また、当クリニックでは、純脂肪、コンデンスリッチファット(CRF)、またそれらに培養脂肪幹細胞を付加することで、4種類の脂肪を用意しています。CRFを用いたり、培養脂肪幹細胞を付加することで、生着率向上が期待でき、今まで純脂肪のみでは難しかった患者さんも脂肪注入の適応になるようになってきました。
それぞれの脂肪の特徴について以下にお示しします。
1.純脂肪による脂肪注入
一番標準的な脂肪注入のことです。腹部や大腿などから脂肪吸引して採取した脂肪を、遠心分離することで麻酔液や血液を除去して脂肪の粒のみにしたものです。
乳癌術後の状態が良ければ、純脂肪でも2〜3回程度の手術で再建することは可能です。
2.コンデンスリッチファット(CRF)
老化した脂肪を除去し、濃縮した脂肪を注入する方法です。腹部や大腿などから脂肪吸引して採取した脂肪を、通常の25倍の圧がかかるウエイトフィルターが入っている特殊なシリンジを用いて、加重遠心分離することで、麻酔液や血液を除去するだけでなく、老化した脂肪を壊して、元気な脂肪の粒のみにして濃縮したものです。老化した脂肪を壊して取り除くので、効率よく脂肪注入が可能で、結果的に生着率の向上が期待できます。しかし、純脂肪より多くの脂肪を吸引する必要があるため、痩せている方は適応になりません。
3.培養脂肪幹細胞
培養した脂肪幹細胞を、前述した純脂肪、またはCRFに混合したものです。局所麻酔下で、20ccほど大腿内側から脂肪吸引します。吸引した脂肪に酵素処理をして脂肪幹細胞を取り出し、培養・凍結保存します。この行程に約6週間かかります。注入は全身麻酔下で、培養凍結された脂肪幹細胞を解凍洗浄し、前述した純脂肪、またはCRFに混合して脂肪注入を行います。
脂肪幹細胞は、脂肪細胞に分化したり、血管新生を促す作用があります。吸引した脂肪の中にも脂肪幹細胞は含まれていますが、その数は等量の脂肪のブロックと比較すると半分程度に減っていると言われています。脂肪幹細胞を追加することで、生着率向上が期待できます。
本治療は「再生医療等安全性確保法」に基づき、厚生労働省に再生医療等提供計画を提出し、許可を得て行っています。細胞培養は、厚生労働省の特定細胞加工物製造許可施設である「セルソース」に委託しています。

ⅰ)純脂肪に混合する場合

ⅱ)CRFに混合する場合

当クリニックでの治療を希望される患者さまへ
乳癌術後の状態は、患者さんによって異なります。患者さんそれぞれの状況に合った方法を提示させて頂きますので、当クリニックで脂肪注入による乳房再建をご希望される方は、まず当クリニックの外来を受診して下さい。初診の際は、1時間程度時間をかけて、ゆっくり丁寧に説明させていただきます。術後のケアも長期にわたり定期的に行い、年齢による体調の変化や課題に関しても解決していきます。
患者さまはもちろん、医師やスタッフも納得のいく結果を求めて、患者さまと共に取り組んでいます。
乳房再建を行うには、担当乳腺外科の先生との連携がとても大切です。外来受診の際は、乳腺外科の先生からの紹介状を必ずお持ち下さい。
また、脂肪注入の他、乳頭乳輪再建、medical tattooも行っています。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
AM | ‐ | 外来小手術 | ‐ | 外来小手術 | 手術 | (手術) | ‐ |
PM | ‐ | 外来 | ‐ | 手術 | 手術 | (手術) | ‐ |
*担当医師:武藤真由
● 診察費 | 初診料 ※ 8,000円/12,000円 ※佐武医師の場合 | 再診料 1,000円 |
● 純脂肪による脂肪注入 | 430,000円 | |
● CRFによる脂肪注入 | 650,000円 | |
● 培養脂肪幹細胞付加脂肪注入 (純脂肪に付加する場合) | 1回目 860,000円 | 2回目以降 610,000円 |
● Medical tatto | 70,000円 | |
● 乳頭乳輪再建 | 保険診療となります |
医師紹介

武藤 真由(むとう まゆ)
武藤医師は穿通枝皮弁のスペシャリストです。
脂肪注入やインプラントなど、乳房再建全般の手術経験が長年ある、全てのことができる数少ないドクターの一人です。多くの手段の中から十分な検討を行い、患者さまに最適な診療を行なうことができることも、豊富な経験によるものです。
[略歴]
平成20年3月横浜市立大学医学部卒業
平成22年4月横浜市立大学 形成外科入局
平成23年4月横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科
平成30年4月横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科 助教
令和2年4月KO CLINIC診療医
横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科 招聘医師
富山大学附属病院 形成再建外科・美容外科 診療指導医
[所属学会]
日本形成外科学会(専門医)
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会(評議員・乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師)
日本再生医療学会
日本マイクロサージャリー学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会

佐武 利彦(さたけ としひこ)
富山大学形成再建外科・美容外科 教授の佐武利彦医師による外来診療・手術を月2回(第2金曜/第4土曜)行っております。佐武医師診察のご希望の方は、お電話で受付にその旨をお伝えのうえ、ご予約をお取り下さい。
脂肪注入や穿通枝皮弁による乳房再建全般、乳房の美容外科手術(縮小術、挙上術、豊胸術)、手指や顔面への脂肪注入による若返り、腹壁形成術(タミータック)についてご相談を承ります。なお、佐武医師が担当する穿通枝皮弁は、富山大学附属病院での治療をご案内致します。
自家組織による乳房再建、乳房の美容外科手術を多く手掛ける。大学病院にて診療、教育、研究に従事しつつ、新しい医療の開発にも携わる。専門領域:マイクロサージャリー、乳房再建、美容外科、再生医療。
[略歴]
平成1年久留米大学医学部卒業
平成1年東京女子医科大学 形成外科研修医
平成14年横浜市立大学 形成外科助手
平成18年横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科 准教授
令和2年富山大学 学術研究部医学系 形成再建外科・美容外科 教授
横浜市立大学 客員教授
[所属学会]
日本外科学会指導医・専門医・認定医
形成外科専門医(日本専門医機構)
米国外科学会正会員(FACS)
米国形成外科学会正会員
国際美容外科学会正会員